晩酌を楽しむような気持ちで日々の思いを書き綴りたいと思います。


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山崎豊子「女の勲章」読了

「華麗なる一族」が来年ドラマ化されるということで話題になっていますが、現在、ちょうど上巻の終わり辺りを読んでいるところでした。
山崎豊子作品はどれも面白いので楽しみです。
ただ、鉄平があの人なのは、どうも私のイメージとは全然違って正直、心配です。
チンピラ風の鉄平にならない事を願うのみです・・・
女の勲章 (上巻)
山崎 豊子 / / 新潮社
ISBN : 4101104387
スコア選択: ※※※※



さて、その山崎さんの「女の勲章」を先日、読み終わりました。
主人公は船場の名門出身で小さな洋裁学校から始めて、デザイナーとして脚光を浴びていく大庭式子。「船場の名門出身」という山崎作品ではお馴染みの設定です。
ストーリーは式子を中心に、打算と野心と愛欲にまみれたヤリ手マネージャー八代銀四郎、一癖も二癖もある3人の式子の女弟子、式子の精神的な支えとなる仏文学者の白石教授の人間関係が複雑に絡み合いながら展開します。
以下、ネタバレを含みつつ雑感です。



読み進めていく中で思ったのは、ストーリー展開、登場人物の位置づけ、相関関係が「花紋」と類似しているということ。

「花紋」の場合は、大阪・河内長野の大地主の娘が主人公であるのに対して、「女の勲章」の式子は船場出身であることや、時代設定の違いなどはありますが、ライフワークを持った女性が俗物的な男性とかかわりを持つ中で人生に疑問を持つ点で共通しています。
さらに、彼女達が俗物男との関係を嫌悪し、俗世とは無縁の高邁な精神のインテリ(?)との結びつきで精神の安らぎを得るも、俗物の邪魔立てにより不幸の道を辿る結末も同じです。
このインテリ男が逆に、女一人まっとうに愛し、守ることもできない問題対応能力ゼロの駄目男だと私は思うのですが(苦笑)

山崎さんの船場ものは面白くて好きではあるのですが、「女の勲章」に関して言えば、式子が「船場出身であること」が、これでもか、これでもか、と金太郎飴のようにたびたび強調されて、それがちょっと鼻につきました。
「ぼんち」や「女系家族」のように船場そのものを舞台にした作品ならそれで構わないのですが、「女の勲章」の場合、直接の舞台は船場ではないですが、「船場出身である」ということが、主人公の式子を特別な存在に仕立てあげています。
「船場、船場って、そんなに船場出身は、エライんか!」と同じ関西出身の人間としてはカチーンとくるわけで・・・(苦笑)。
まあ、私は雲の上の上流階級とは全く縁のない庶民だし(とちょっと捻くれてみる)、育った時代も違うので、船場の威光がいかにすごいものだったのか、実感がわかないのですが、山崎作品を読むと昔はそうだったんだろうな~と思います。

このカチーンとくる感情を作品の中では、式子の弟子で庶民出身の野心家・倫子の姿を通して描き出している点が、山崎さんのスゴイところだと思います。

この倫子に限らず他の登場人物たちも個性的であくが強いです。

物語の準主役ともいうべき、式子の愛人にして洋裁学校の経営に手腕を振るう八代銀四郎。
自分の野心のために、式子のみならず式子の3人の弟子とも肉体関係を持ち、自分の有利になるよう操ろうとします。
今時の男性観からすると銀四郎は、ちっとも格好よくないし、イケてるとも思えないのですが、この作品が書かれた頃は、一流大学出身の切れ者で仕事ができて、外見が良ければ、こんな胡散臭い俺サマ&自己チュー男でも、女はフラッとなったんですかね~
あっ、今でもそうなのかな(苦笑)。

だいたい、こんな男に式子だけでなく、弟子がみんな関係を持っただけで、彼の言いなりになってしまうのが信じられない・・・
(あっ、弟子の中でも富枝だけは銀四郎の言いなりではなくて逆に銀四郎を手玉にとってましたが)

で、この銀四郎と対極にあって、浮世のしがらみから超越した良心的な存在として登場するのが白石教授です。
「白い巨塔」で言えば里見助教授、「花紋」だと京大助教授の荻原秀玲といったところでしょうか。
最も酷似しているのが荻原秀玲だと思いますが、荻原教授も白石教授も浮世離れしたある意味、人格者ではあるけれど、机上の空論的な女性の愛し方であるが故に、俗物的な権力志向の人間の前では無力な存在でしかありませんでした。
白石教授が銀四郎に対して怒りを込めて言った言葉。この言葉は白石教授の世間知らずというか、現実離れした考え方を象徴的に表しているように思います。(以下、小説からの引用です。)
「君は、一流の大学で教育を受け、仏文を勉強した人間なのか。」

銀四郎は嫌な人間ですが、これに対する彼の反論には納得。
「知能テストがよかったから一流の国立大学へ入れただけのことで、教育と人格が遮断されているのが日本の教育やおまへんか。」

しっかし、山崎さんて他の小説を読んでも思いますが、対極にある人間の特徴をホントうまく捉えているなと感心します。

読んでいて、何かと歯がゆい思いをさせられる人物ばかりの中、最も小気味よかったのが、式子の弟子の一人である富枝です。
彼女も銀四郎と関係を持ったものの、唯一、銀四郎の操りから逃れて、最後に美味しい思いをするであろう人物として描かれています。
一見、ぼんやりしているような人が実は一番しっかりしていたんですね~

結局、式子は白石教授に別れを言い渡された事やこれからも銀四郎の言うがままに、あくどい人生を歩まなくてはならない事に絶望して発作的に自殺してしまいます。
銀四郎は式子が遺書などを残して自分に罪が及ぶことを危惧しますが、う~ん、銀四郎が悪いのは当然のことながら、式子を自殺に追いやった直接的な原因は無責任男の白石教授の言動じゃないかと思います。

最後の場面では、銀四郎は式子の死亡記事がどれだけの利益を及ぼすかを計算してほくそえんでいる所で終わっていますが、おそらく彼の詐欺行為的な無謀な経営はいずれ世間に露見し、破滅を迎えるであろう予感を読者に与える効果がある終わり方だと思いました。

きっと、3人の弟子のなかで唯一、銀四郎の思うままにはならなかった富枝がなんらかの動きにでるんじゃないかな・・・
なにしろ、式子が苦労して得たフランスのデザイナー、ランベールの型紙を銀四郎にも気付かれずに、盗むような抜け目の無い女性ですから。
物語は銀四郎の一応の勝利(と言ってもいいかと思います。)で終わっていますが、その後の本当の勝利者は富枝なんじゃないでしょうか。

などなど、読後も色んな想像を楽しむことができる作品でした。
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by icewine5 | 2006-10-19 23:45 | 読書