晩酌を楽しむような気持ちで日々の思いを書き綴りたいと思います。


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山崎豊子「華麗なる一族」感想

華麗なる一族〈上〉
山崎 豊子 / / 新潮社
ISBN : 4101104123
スコア選択: ※※※※※


1月からのドラマ「華麗なる一族」の公式HPがいよいよ本格的に稼動し始めました。
TBSのドラマサイトは「女系家族」のときもそうでしたが、色々とお楽しみ企画があって好きです。
早速、キャラ別性格診断をやったら大亀専務でした・・・・
納得いかなくて迷った質問をかえたら鶴田志乃。信頼してくれる相手に対して義理堅いところ以外はどっちも自分と違うんだけど、なんで??

ドラマのキャスティングについては、主役の役者をはじめ私のイメージとかなり違う人もいて(特に鉄平、美馬、三雲さん・・・)、心配ではあるのですが、原作の山崎さんの作品はどれも面白いので、ドラマそのものはとても楽しみです。

秋口からチマチマ読んでいた原作の感想をドラマが始まる前に書いておきたくなりました。
以下、盛大にネタバレしていますので、ご注意ください。



この小説の主人公は、関西財閥の長であり、野心家の万俵大介。私生活では妻と愛人との同居を何年も続ける厚顔無恥なエロおやじ(笑)。
政官財の人脈や情報網を巧みに生かして小が大を食らう銀行合併を成し遂げます。
自分の野心達成のためには、息子や娘の本当の幸せも考慮せず、野望達成の道具とみなす冷徹な野心家である大介と、天職である鉄に人生をかける息子・鉄平との対立は小説の重要なテーマとなっています。

ただ、読み終わって思ったことがあります。
この小説で山崎豊子さんが描いている大介と鉄平の対立はあくまでも表面的なものであって、実は大介と、鉄平に投影された大介の父である敬介(鉄平にとっては祖父)との戦いだったんじゃないかということです。
大介は「息子」である鉄平が本当は父・敬介と自分の妻・寧子との間にできた「義弟」ではないかとの疑惑を常日頃から持ち、鉄平(その向こうにある亡き父・敬介)に対して憎悪を募らせます。
鉄平に投影された自分の父・敬介への憎悪とライバル心が、「息子」を死に追いやってでも野望達成へと、大介を駆り立てたんじゃないかと思うのです。

万俵コンツェルン全体の繁栄を願ったればこその銀行合併だと言いつつ、本当は自分の妻・寧子を奪った(かもしれない)父・敬介に対する憎悪という、極めて個人的な感情が彼を動かす原動力になっていたような気がします。
大介は、息子・鉄平の会社というよりも父・敬介が築き上げた会社である阪神特殊鋼を潰したかったのであり、自分の妻をつまみ食いした父を死に追いやったのだと。

そして最後に、鉄平の自殺で血液型が判明したことによって、鉄平が本当に自分の血を分けた「息子」であったことに気がつき愕然とする大介。
死んだ息子に対して、ようやく父親らしい感情を持つ大介に「愚かだね、大介・・・」と、これまでムカついていた大介に対して、一種、憐れみの情が起きたのが自分でも不思議でした。

こうやって考えると、やっぱりこの小説の主人公は、当たり前だけど大介なんですよね。
今度のドラマで鉄平を主人公にしてしまって、作品のメッセージを視聴者に充分に伝えきれるのか・・・

小説の中で印象的な場面は数多くありましたが、特に印象に残っていることをかいつまんで。

鉄平の葬式のあと、三雲が大介の言う言葉はどれも深い意味を持っていると思いました。特に、
「人間性を置き忘れた企業は、いつか、何処かで必ず、躓く時が来るというのが、私の信条です。」

この言葉は本当にその通りだと思います。
また、性善説の孟子の言葉を引用するのもいかにも三雲さんらしいです。

作品が書かれた時から何年も経った現在も利益優先で倫理観を失った企業の不祥事が相次いで起こっています。
結局、企業が末永く存続する秘訣は、その企業が職員を大事にすることはもちろんのこと、職員ひとりひとりがお客様とその背後にある社会全体を考える事なんじゃないかと思うのです。

山崎さんの小説はどれもそうですが、登場人物のライフスタイルにはそれぞれの時代や地域の特性を感じるものの、物語の根底を流れるテーマは現代にも通じるものばかりで、それが、この人の作品の一番の魅力でもあります。

最後の最後にどんでん返しがあるのは、「女の勲章」や「女系家族」と同じ。
晴れて、大同銀行との対等合併を成し遂げた大介ですが、大蔵大臣の永田はその先を見越してさらなる合併を頭に描いている点で、大介より一枚も二枚も上手です。

「華麗なる一族」の没落前の最後の輝きで小説は終わりますが、登場人物たちの「その後」を読者に予想させる余韻が残っていました。

ここから先は私の勝手な想像(いや、妄想かな)です。

すぐそこまで迫っている万俵家の凋落。
大介は多分、阪神特殊鋼を倒産に追いやったトリックか、あるいは過去の私生活が何者かの策略によりマスコミに暴露されて、第二の合併とともに失脚。相子はきっとこのままじゃ引き下がらないはず。
美馬の裏切りによって、一子は離婚。
銀平は東洋銀行を辞めて、昔の彼女である小森章子の元へ。
などなど、考え出すときりがないです(笑)。

あとは瑣末なことばかりなのですが・・・
これまでも山崎作品は色々読んできましたが、今回初めて気がついたことがあります。
実は登場人物の名前がその人となりを読者がイメージしやすいように、かなり意図的につけられているのだということ。
これだけ登場人物が多いと、本人の性格や立場を想起しにくい名前だと誰が誰だか混乱してしまいますもんね。

例えば、鉄関係の仕事をしている長男は鉄平、銀行務めの次男は銀平って、なんて単純な(笑)。
大介にとって閨閥の枝を広げるための着飾った生殖道具でしかない娘達は単純に番号で一、二、三。
浮世離れした大同銀行頭取が三雲って、いかにも天上の世界に浮かぶ雲みたいなイメージ。
愛人の名前が相子なのも、妻妾同居の二重生活をよく表しているように思います。
大蔵省のサラブレッドが美馬。(超個人的意見ですが、美馬役は仲村トオルよりも谷原章介はどうかな。ちょっと年が若いけど。)
脇役では、経理担当が銭高。
日銀総裁が松平なのは、いかにも殿様っぽい感じ。総裁が「松平」なのには、個人的に思わずニヤッとしてしまったところ。(副総裁じゃないんだね 笑)

しかも外見と性格・社会属性もステレオタイプな一致具合なので本当に分かりやすい。
間違っても公家出身の正妻・寧子が豊満な肢体で、アメリカ帰りで活動的な愛人・相子が日本人形のように華奢だったりはしないわけで(笑)
鉄平がニヒルな容貌だったり、慶応ボーイだったりというのもありえないのですよね。

強いて難を言うと、銀行合併など金融ネタが多いので仕方ないとは言え、山崎さんの作品は会話が説明的になってしまう事。

あとは男性の外見の形容が紋切り型なのも気になるといえば、気になるところかな。
大介を形容するのに「銀髪端正な」は、いい加減、聞き飽きました^_^;

男性の登場人物の描写が割とありきたり(だと私は思うのですが)であるのに対して、女性の描写は他の作品でもそうですが、大変生々しく感じます。

例えば、高須相子が自室で着替える際、スリップ1枚になった時の描写。
「子供を産んでいない形のいい乳房が盛り上り、蒸れるような女の匂いに包まれている。」

これを読むと、相子の体臭と汗と香水が入り混じった「メス」の匂いがこちら側までムッと漂ってくるような生臭さがあります。

関西の「船場モノ」と「社会派」の中間に位置するようなこの作品。今の時代にも充分に通じる読み応えのある小説でした。
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by icewine5 | 2006-12-14 01:22 | 読書