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晩酌を楽しむような気持ちで日々の思いを書き綴りたいと思います。


by icewine5

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蜂谷涼「へび女房」より「雷獣」

「歴史読本」3月号を購入するついでに、榎本武揚が登場するという蜂谷涼さんの「へび女房」を入手しました。
幕末、明治時代の女性を主人公にした4つの短編集で、とりあえず、榎本さんが登場する「雷獣」を読みました。
(他の短編もざっとページをめくってみたところ、別の短編「うらみ葛の葉」には大鳥圭介も登場するんですよね~。こっちはまた後日。)
へび女房
蜂谷 涼 / / 文藝春秋
スコア選択: ★★★★



さて「雷獣」ですが、これ、良かったです~!
今まで読んだ榎本さんの恋愛モノ(って勝手にジャンルを作ってます 笑)では、以前読んだ「アラミスと呼ばれた女」よりもずっと私のツボにはまりました。
「アラミスと呼ばれた女」も話としては面白かったものの(感想はこちら)、男装の女性が榎本さんと恋愛するのが生理的に駄目だったのと結末のご都合主義に違和感がありましたが、この「雷獣」はとにかく榎本さんがいい男だし、主人公の芸者・小せん、黒田清隆をめぐる三角関係に「萌え」ました(笑)。
結末も切なくてイイです。

オーソドックスなストーリー展開だし、歴史小説というよりも歴史上の人物を使った恋愛小説といった感じなのですが、中途半端に歴史的要素を交えずに思い切ってベタな恋愛中心の展開としていることで、まとまりのある完成度の高い作品になっているよう思いました。



あら筋はこんな感じ。
時代は明治。黒田清隆が妻を斬殺した噂が立っている頃だから、明治11年以降でしょうか。
美人の芸者・小せんは「一里塚の殿」と呼ばれた榎本武揚に密かに想いを寄せており、榎本さんも小せんを内心、心憎からず思っていたが、「黒虎の大臣」黒田も小せんの美貌と黒田に対しても堂々と意見する度胸に惚れて、後妻にと申し出る。
小せんは榎本さんに心惹かれながらも黒田の後妻になることを決意するというお話。
(あっ、榎本武揚は「さん」づけなのに黒田清隆は無意識のうちに呼び捨てになってた(^^ゞ)

これまで読んだどの作品でも榎本さんは格好良く描かれていますが、この作品の榎本さんも御多分に洩れず文句なしに素敵ですw
酒宴の席で酒乱の黒田がいくら大暴れしようと、榎本さんはあくまでも洗練されたスマートな紳士。黒田をなだめ、宴席に侍る芸者さんたちをかばってくれます。
 「軍人のわりには、武張ったところのまったくない仕草。すんなりと長い指を持つ、あたたかそうで大きな手。深い色をたたえた優しい目。」
「髭に覆われた頬をだらしなく緩めている黒田に引き換え、榎本は、しゃんとした姿を崩さず、口元に控えめな微笑みをたたえていた。」

(蜂谷涼「へび女房」の「雷獣」より引用)
こんな描写ですから、そりゃ女子は夢中になるでしょうw

そんな榎本さんにもちろん小せんはもうメロメロ(笑)。
うっとり榎本さんの横顔に見惚れたり、黒田が小せんに対して言った褒め言葉もこれを榎本さんの口から聞きたかったと思ったり、見つめられてときめいたりするわけです。
このあたりの心情描写はさすが女性作家さんらしいドリームが入ってますが、なかなか切なくてイイ感じです。
同じドリームといっても秋○さんや萩○さんといった土方作家さんのは苦手なんですけど、蜂谷さんのは読んでいて共感できちゃったりします。

一方の黒田清隆は、榎本さんとは対照的に酒乱で粗暴な田舎モノとして描かれています。
この本と一緒に購入した歴史読本には爆発頭の黒田が掲載されていて衝撃的でしたが、そのイメージのままこの話を読んだので、さらに強烈度UPです。
もうこれじゃ榎本さんの引き立て役にしかならないよ(笑)。

黒田さんは今で言うところのアルコール中毒、且つドメスティックバイオレンス(らしい?)という最悪のタイプにも関わらず総理大臣やっちゃうんだから、スゴイ。今じゃ考えられないですね~。

とは言っても、小せんに北海道開拓の夢を生き生きと語ってみせるあたり、単なる粗暴な悪者ではない描かれ方をしている点が良かったです。

酒宴の席で爆発した黒田を小せんが諌めてから数日後、再び宴席に呼ばれるとそこには榎本さんが1人。
ここからがまたなんとも自分好みの切ない展開でしたw
期待を胸にいそいそと榎本さんのそばに寄るも、惚れた当の相手から黒田さんが後妻に望んでいると伝えられるんですよね・・・
申し出を拒絶する小せんは、自分に情けをかけてくれるよう榎本さんに求めるのですが、ギリギリのところで自制した榎本さん、小せんを置いてその場を去っていっちゃいます。
ちょっと榎本さん、節度ありすぎなのですが、こういう展開、ホント好きだなぁ♪

結局、小せんは黒田のプロポーズを受け入れるわけですが、実は榎本さんと小せんが惹かれあっているのは黒田も知っていた上で後妻にと申し出たらしいから、意地が悪いったらありゃしない(怒)

「これで良かったんだ」と拳を震わせて耐える榎本さんがまたいいんだな(笑)。
自分の立場上、身を引かざるを得ない、どこまでも大人な榎本さんです。

というわけで、渋くて格好いい中年の榎本さんを堪能するにはもってこいの作品でした。他の3編も楽しみです。
by icewine5 | 2008-02-06 22:49 | 読書(歴史関連)