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晩酌を楽しむような気持ちで日々の思いを書き綴りたいと思います。


by icewine5

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小野アンナさんの人生

美波ちゃん目当てで、「かもめ」を観て以来、チェーホフに少し興味をもって、本屋のロシア文学コーナーで手にとった本。チェーホフとの恋 (チェーホフ・コレクション)
リディア・アレクセーエヴナ アヴィーロワ / / 未知谷
ISBN : 4896421221
スコア選択:
(小野俊一/訳、ワルワラ・ブブノワ/挿絵)

といっても今日、書きたいのはこの本の感想ではなくて、小野アンナさんのことです。

独特の味のある挿絵やかもめが初演された劇場の写真など眺めながら頁をめくって、小野有五氏の後記「俊一とアンナ、そしてブブノワ」を斜め読みしていたところで、目に入ってきたのが小野アンナの名前です。

小野アンナさんと言えば、ヴァイオリン教則本を書いた人であり、前橋汀子さんや巌本真理さんなど女性ヴァイオリニストを育て、現在の日本のヴァイオリン教育界に多大な影響を与えた人。
恐らくヴァイオリンの道を志す人なら、彼女の門下生と少なからず、つながりのある先生のお世話になっていたりするんじゃないでしょうか。

ただ、私の知っている知識はその程度で、小野アンナさんがどんな人生を歩んだ人なのかは全く知りませんでした。
で、彼女とこのチェーホフの本に一体どういう関係があるのか、気になって、本編はともかく後記を先に読んだのですが、今まで知らなかったアンナさんと小野俊一、ワルワラの関係がよく分かりました。ついでに後から調べたらオノ・ヨーコさんまで縁続きでびっくり。
小野アンナさん、ものすごく波乱万丈な人生を歩んだ方でした!

小野アンナ(アンナ・ドミートリエヴナ・ブブノワ)は1890年、サンクト・ペテルブルクで官吏の父と地主の家柄の母の間に生まれました。この本の挿絵を書いたワルワラ・ブブノワはアンナの姉。
アンナは14歳でサンクト・ペテルブルク音楽院に入学し、ヴァイオリンを学びます。
そして、チャリティ・コンサートでバッハのシャコンヌを演奏するアンナを見初めたのが、当時ペテルブルク大学に留学していた小野俊一です。

その後、ロシア革命が勃発、アンナと俊一は革命の混乱のなか、教会であわただしく結婚を誓うとその足でシベリア鉄道に飛び乗り、駆け落ち同然の姿で日本を目指した」(小野有五氏の後記より引用)のだそうです。彼女の出奔を家族が知ったのはアンナがシベリア鉄道の中から打った電報だったんですって。
いや~、そんな風にして彼女が日本にやって来たとは!なんてロマンチ(笑)な話でしょう・・・

ロシアの令嬢と恋に落ちるなんて、この小野俊一さん、本ではロシア文学者・動物学者・社会運動家と紹介されていますが、一体どんな素性の人なの?と気になって検索してみたところ、「歴史が眠る多摩霊園」というページで詳しく紹介されていました。なるほど、銀行家の坊ちゃんだったんですね。アンナさんやワルワラさんのことも分かりやすく紹介されています。

余談ですが、ここでちょっとビックリしたこと。
血はつながっていないのですが、小野アンナさんとオノ・ヨーコさんは義理の伯母と姪の間柄だったんですね!
小野俊一の弟の娘がオノ・ヨーコさんなのだそうです。
オノ・ヨーコさんについては、特に興味を持ったこともなく、ジョン・レノンの奥さんという事ぐらいしか知らなかったので、ついでにwikiや家系図のサイトなどを見たら、彼女も銀行家のお嬢サマ、安田財閥の一族だったんですね。
それにしても、同じ小野姓でもまさか小野アンナと縁続きなんて思ってもみませんでした。閨閥というのは芋づる式に色んな人がつながってくるから面白いです。



アンナさんに話を戻します。

日本に来て1年後、二人の間に男の子が生まれ、アンナはヴァイオリン教育に情熱を傾けたそうです。
この頃、アンナの姉ワルワラも来日しますが、革命政府の方針で故国に帰れなくなり36年間、日本で過ごすことになります。
その後、アンナの息子は病気で急死し、俊一とも離婚。
すべての日本の子どもたちのヴァイオリン教師として日本で生きようとした彼女、戦中は「敵国人」として特高に尾行されたりしたそうですが、そうした苦労を乗り越え、多くのヴァイオリン演奏家を育てました。

ここで、ものすごく不思議な関係だと思ったこと。
俊一はアンナと離婚後、日本女性と再婚し、この後記を書いた小野有五氏も生まれたのですが、離婚後もアンナ・ワルワラ姉妹と小野一家は、俊一が亡くなるまで、一緒に暮らしたのだそうです。
姉のワルワラと俊一は文学や絵画方面でも共に活動をしたそうですし、現にこの「チェーホフとの恋」では翻訳を俊一、挿絵をワルワラが描いていますから、離婚をしたとしても音楽、絵画、文学など芸術を通して、彼らは強い共感とつながりを持った有志のような関係だったのかもしれません。

まあ、普通の凡人にはなかなか理解しがたいところではありますが、芸術家というのはそんなところがあるのでしょうね。

俊一の死の二年後、ソ連に戻ったアンナはそこでもヴァイオリンを教え、1979年になくなりました。
今までヴァイオリン教則本の人ぐらいのイメージしかなかった小野アンナさん、実は映画にしてもいいんじゃないかと思うぐらいドラマチックな人生を歩んだ人だと知って、俄然、興味がわいて来ました。
「回想の小野アンナ-日本のヴァイオリニストを育てて半世紀」(小野アンナ記念会編)という本があるようなので、そのうち読んでみたいです。

そもそもの始まりは有閑倶楽部、そこで美波ちゃんを知って、かもめを観に行ったのがきっかけで、チェーホフから小野アンナ、ついでにオノ・ヨーコさんにまで辿りつくとは、「風が吹けば桶屋が儲かる」って感じです(ちょっと意味が違うか 笑)。

肝心の本編のチェーホフとアヴィーロワさんのことはこれからゆっくり読んでみます。
by icewine5 | 2008-08-09 01:17 | 音楽