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晩酌を楽しむような気持ちで日々の思いを書き綴りたいと思います。


by icewine5

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三島由紀夫映画祭2006(その1)「憂国」に衝撃

仕事が暇状態なのをこれ幸いと、この2日間は定時に会社を出て、キネカ大森で開催中(4/8~5/12)の三島由紀夫映画祭2006「その目で、心で 衝撃と対峙せよ」に行ってきました。

見たのは27日が「憂国」「愛の渇き」、28日は「潮騒」の3本。
「愛の渇き」と「潮騒」も良かったのですが、「憂国」の印象が強すぎて・・・本当に強烈でした。

余韻さめやらぬうちに「憂国」の感想を。
昨日は強烈な三島の世界から現実に戻りたくて、他愛も無い話を書きましたが、それでもまだ、今日も脳内を映像と共にBGMのワーグナー「トリスタンとイゾルデ」から「愛の死」がエンドレスで流れています。
原作を読んだことが無かったので、見る前は、2.26事件で将校が決起する話かと思っていたら、事件に加わることが出来なかった青年将校と新妻の愛と死をテーマにした話だったのですね。

「憂国」は三島由紀夫本人が主演しているのですが、字幕を見たら、原作は当然のことながら、なんと監督、制作、脚色、美術と全てに関わってるのが、すごい。
もう、これでもか、これでもかというぐらいコッテコテの三島の世界に圧倒されました。


憂国(1967年/モノクロ/28分)
監督/制作/原作/脚色/美術/主演:三島由紀夫
制作:藤井浩明/撮影:渡辺公夫
出演:三島由紀夫/鶴岡淑子

ストーリーは以下の通り。
昭和11年、「2.26事件」が勃発、新婚であるがゆえに仲間から決起に誘われなかった武山中尉(三島由紀夫)は、皮肉なことにかつての親友たちの鎮圧を命じられる立場になる。国も友も裏切ることができない武山中尉は最愛の妻・麗子(鶴岡淑子)と共に自ら死ぬことを決意する。そして、愛し合う二人の、想像を絶する「愛と死の儀式」が始まる・・・。(4月28日発売「憂国」DVDのチラシから引用)

これもチラシからの引用ですが、
能舞台に見立ててつくられた美術セット、艶かしい愛の交歓シーン、そしてあまりにもリアルな切腹シーン・・・全編セリフなし、ワーグナーの音楽にのせ、愛と死が緻密に描かれる。三島由紀夫の美学が全編に溢れるアート・ムービー(4月28日発売「憂国」DVDのチラシから引用)


ストーリーは、こんな感じで展開していきます。
1.武山中尉と妻・麗子が死を覚悟するシーン。
2.死の直前、愛の交歓
3.武山中尉の切腹
4.妻・麗子の自害

28分間、流れるのは「トリスタンとイゾルデ」のみ。場面が代わるところで、毛筆で書かれた注釈が入ります。
舞台は、チラシでも説明されているように能舞台のような空間に、装飾といえば背面にドドーンと大きく「至誠」と書かれた掛け軸と神棚だけ。
この「誠」の文字が武山中尉と妻・麗子のシーンの合間、合間に象徴的に何度も映るのが、新選組ファンとしては、なんと言ってよいのやら・・・





まずは最初のシーン。
武山中尉の新妻・麗子が自らの遺書を前に夫への愛を確認するところから始まります。
戻ってきた武山中尉と麗子が寄り添い、中尉は切腹の仕草を、麗子は喉を懐刀でつく仕草をして、互いに死の覚悟を確かめあいます。

次場面で舞台はそのまま、いきなり全裸で横たわっている2人。
この場面は一瞬何事!?って感じで、何か見てはいけないものを見ているような気持ちでした。
この手のシーンは、もっと過激な映画がいくらでもあるから、別に珍しくもないんだけど、憂国の場合、まさに「交歓」という言葉がぴったりくる生々しさで、まともに直視できない(でも直視してたけど 笑)気がしました。
三島由紀夫本人が出演しているからというのもあるし、BGMが官能音楽の最高傑作と言われる「トリスタンとイゾルデ」だというのもあるかもしれません。

話はクライマックスに向かって、武山中尉の切腹シーン。
もうこの切腹シーンを見ると、「新選組!」第33回の「友の死」が幻想的で清らかなおとぎ話に思えるぐらい、憂国の切腹シーンは壮絶でした。
はっきり言って、相当エグイです。
空腹状態だったし、白黒映像だったからよかったものの、これがカラーで食後だったら、吐いていたかもしれません。
作法通りに刀を白い布(半紙?)でクルクル巻くところまでは、友の死で見たのと同じ。
ただし、その後は全然違います。
リアルすぎて、三島の熱演が、まさに本人の最期と重なって恐ろしいです。しかも介錯人は無しです(驚)
まずは、作法の一つなのでしょうか、太もものあたりを切っ先で突いて、試し切りをした直後、腹に刀を突き立て、そこからが長い長い(汗)
血がドクドク噴き出して、それが床で血溜りとなり、口からは泡を吹き、切り口からは内臓が飛び出してきて・・・これ以上はここに書くのが憚られるぐらいです。

これも切腹の美学を描いたという意味では美しいものなのかもしれませんが、「友の死」の美しさとは全く種類の違うもののように思われました。
とにかく強烈すぎて、しばらくは「誠」を見ると、新選組じゃなくて「憂国」の場面がフラッシュバックしそうです・・・

それを妻・麗子はじっと傍で見届けると、舞台左手の鏡台で化粧を整え、再び夫の元に戻ってきます。
死んだ夫を幸せに満ちた眼差しで見つめ、麗子も喉に刀をつきたて自害。
音楽もそれに合わせるように「イゾルデ愛の死」がクライマックスに。
ちょうどイゾルデが死んだトリスタンのそばで愛と死の喜びを歌いながら死んでいくシーンと重なります。
最後は、夫婦が寄り添って倒れているシーンで終わります。

昨年見たバレエ「M」で、三島の切腹シーンで「愛の死」が流れたときはモーリス・ベジャール、随分ベタな演出だなあと思いましたが、憂国を見れば納得です。

4/28にはDVDが発売されたのですが、これがかなり充実しているようです。
特典映像には、マルチアングルで観る「憂國」撮影台本とか、三島由紀夫の二日間、映画「憂國」アルバム、三島由紀夫の世界とかあるんですけど、「マルチアングルで観る」ってあの交歓シーンとかもあるんだろうか・・・

特典映像や封入特典も魅力的だし、欲しい気持ちはヤマヤマなんだけど、切腹シーンや交歓シーンの映像が家の中にあると、マチベンの浦島たまをさんじゃないけど、なんかうなされそう^^;

は~、ここまで強烈な映画を見たのは久しぶりです。
まさに「その目で、心で 衝撃と対峙せよ」でした。

ちょっと長くなりすぎたので「愛の渇き」と「潮騒」は別途、書くことにします。
by icewine5 | 2006-04-29 01:09 | 映画