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晩酌を楽しむような気持ちで日々の思いを書き綴りたいと思います。


by icewine5

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三島由紀夫映画祭2006(その2)「愛の渇き」「潮騒」

三島由紀夫映画祭の感想続きです。

4/25の「愛の渇き(67年)」、そして4/26「潮騒(71年)」の2作品。
どちらの作品もストーリーや登場人物の心情説明のナレーションが入っているあたり、今時の作品とは全然違って時代を感じさせるものがありました。
観客も年配の男性率が高いのが目をひきます。きっと若かりし青春時代にこれらの映画を見た懐かしい思い出があるのでしょうね。

●愛の渇き(1967年/日活/モノクロ/99分)
製作:大塚和/監督:藤原惟繕
出演:中村伸郎 浅丘ルリ子 山内明

原作は読んだことが無かったのですが、系統としては「美徳のよろめき」に近いように思われました。
阪神の素封家の家庭を舞台にしたもので、主人公は、愛に渇いた未亡人の悦子。
彼女は夫の死後、舅の弥吉と不毛な関係を持つ一方、若い無教養な園丁、三郎に惹かれてゆき、最後は悲惨な結末を迎えるストーリー。

三島作品そのものは好きなのですが、私の場合、登場する女性に共感を持てない事が多くて、今回の「愛の渇き」の主人公悦子(朝丘ルリ子)に関しても、彼女の気持ち、行動ともに、私には正直言って理解不能です。

だけど、映画そのものは、原作が持っている登場人物の濃さや官能の表現をできるだけ活かしたコテコテの作りになっているのが、今時の日本映画と比較すると、隔世の感があって面白かったです。

昨年、公開された映画「春の雪」も三島由紀夫作品ですが、良くも悪くも三島臭さを極力抑えて、万人受けする恋愛映画になりかわっていました。
大正時代の華族の若様とお姫様の美しく哀しい恋愛絵巻であって、原作から感じられる生々しさが排除されていたので、かつての三島作品の映画を堪能した世代の方が見れば、きっと失望した人も多かったんじゃないかなあと思います。

とにかく、「愛の渇き」については、悦子が義父と情を交わすシーンにしても、三郎と関わるシーンにしても妙に生々しいのが、今時の映画のラブシーンとは何かが違うのですよね。うまく表現できないのがもどかしいですが・・・

特に、堕胎に関連するシーン。
三島作品の中ではたまに出てきますが、文章を読んでいるだけで生理的に気持ち悪くなる感じが、「愛の渇き」でもよく表れていました。
園丁、三郎の子供を妊娠した使用人の少女に嫉妬した悦子が堕ろすよう勧め、少女はそれに従い堕胎するわけですが、堕ろした後に少女が暇乞いする姿からなんとも言えない気持ち悪さが漂ってくるような感じを受けました。普通に服を着て、座っているだけなのに。

「春の雪」でも竹内結子演じる聡子は子供を堕ろしますが、竹内結子本人の持つ楚々とした雰囲気や映画の作りのせいもあって、あまり現実感もなく、生々しさも感じられませんでした。
聡子の場合は堕胎した後に出家して、俗世との交わりを一切絶ちますから、その超越した神々しさを映画でも表したいというのがあるのだとは思いますが。

それにしても、この映画、最後はかなりエグイです。
斧で三郎を切り殺し、小屋の床に埋める悦子がとても不気味。
あまりにも濃すぎて、ちょっと消化不良を起こしそうな作品でした。





●潮騒(1971年/東宝/カラー/82分)
製作:田中収/監督:森谷司郎
出演:朝比奈逸人、小野里みどり

「憂国」「愛の渇き」と立て続けに見たせいか、この作品は妙にさわやかに見えてしまいました。
「潮騒」はこれまでに何度も映画化されていますが、今回見た71年版は主人公2人に無名の新人が起用されています。

アイドル売り出しの定番企画というイメージが強い『潮騒』だが、1971年度版では、一般公募により選ばれた新人が新治と初枝を演じている。そのせいもあって、原作が持つ神話的雰囲気が見事に映像化され、5度の映画化のうち最も完成度が高い。傑作、力作がひしめく森谷司郎監督のフィルモグラフィーにあって欠くことのできない一本にもかかわらず、長年黙殺されてきた不運の秀作である。未ビデオ化。<三島由紀夫映画祭2006のチラシより引用>


チラシでも説明されているように、主役2人が有名人ではない事で、かえって新鮮な印象を受けました。
新治も初枝もはっきり言って、美男美女でない、それどころか初枝役の女優さんは今の基準からすればぶさいくの部類に入るかもしれないところが、田舎の漁業の島らしく、嘘臭さがなくてよかったです。
最初、初枝が登場した時は「えっ、これが初枝!?」と意外だったんだけど、焚き火のシーンで服を脱いだ初枝と新治の若く美しい肉体を見て、「ヤラレター」と思いました。
初枝はズロース1枚、新治はふんどし一丁。
ほぼ一般人と言ってもよい新人がこんなに惜しげもなく裸体をさらしていいもんだろうかと驚きでした。

こういうキャスティングは今じゃきっとあり得ないんだろうなぁ・・・
もしも、今、「潮騒」が制作されるとしたら、無名の新人を使うことはないだろうし、売れっ子アイドルを起用した場合は、絶対こんなシーンはあり得ないと思われます。
たとえ、一般公募したとしても、71年版のようにリアルな新治や初枝ではなく、もっと美男美女が選ばれるんじゃないかなあ。
なんか昔の方が今よりも大胆だったような。

こうなると三浦友和&山口百恵が出演した潮騒もどんなものなのか見てみたくなりました。


明日(5/2)は「春の雪」の映画監督行定勲氏のトークイベントがあります。
5/2(火)18:30~「三島作品を語る」
ゲスト:映画監督 行定勲 ホスト:「春の雪」企画・映画プロデューサー藤井浩明

う~ん、気になる、気になる・・・、行きたいなあ・・
映画祭は12日まで。あと1回ぐらいはなんとか行きたいし、「憂国」ももう一度見たいような気がします。
あ~、やっぱりこの映画祭、通ってしまいそうな予感・・・
by icewine5 | 2006-05-01 14:39 | 映画